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明かりが消えた日 後編 |
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次の日、目がさめると時計の針は10時を指していた。ベットから立ち上がると、全身に思い疲れを感じた。やはり知らない道を何時間も歩くという事は、とても体力を使うようだ。歯を磨きながらテレビをつけてみたが、やはり停電は続いたままだった。
ルームメイト達はすでに起きていて、パンなどを食べていた。私もシリアルを食べ、 ラジオでまだサブウェイが走っていない事を確認し、バイトはやはり休みだとわっかた。しばらくするとルームメイトの友達のジェイソンというアフリカン・アメリカンの大柄な男と、彼女で日本人のトモサンの二人がアパートにやってきた。彼には以前会った事があり、昔、ボクシングをやっていたという話などを聞いたことがある。彼はバーベキューにルームメイトを誘いに来たようだった。私も特にする事がなかったので一緒についていくことになった。 場所は、私達のアパートからあまり離れていない彼の母親の家だった。そこまでバスで行き、(停電中、バスは無料だった.)ジェイソンの母親の家に行ってみると、家の中には彼の母親、20代前半の妹二人、10歳に満たない弟、そして母親の彼氏がいた.事情は知らないが父親はいない様だった。ゲットーに住むアフリカン・アメリカンの家庭ではこのようなことが多く、40,50代の母親に彼氏がいることは大して珍しい事ではなかった。 ルームメイトのアレックスも同じように現在、彼の母も彼氏がいるそうだ。彼の家庭環境を日本人の私からしてみれば大変なものだった。彼は腹違いの兄弟が数人いて、彼の父親にあたる人物は、ついこの間までは刑務所にいたらしい。彼は2年前までは叔父と一緒に暮らしていたらしていた、それが最近父親がもう刑務所から出ていて、今フィラデルフィアに住んでいる事がわっかたらしい。そんな話ばかり聞いているうちに、いつのまにか大して驚かなくなっていた。この家も、誰の子かは知らないがやはり赤ちゃんがいた。このような家には、必ずと言っていいほど赤ちゃんがどこでもいる。 バーベキューを食べている間に、クイーンズなどにはすでに電気が回復している事が分かった。周りの話では、多分ブルックリンが最後だろうといっていた。そんな時、家の周りから歓喜が上がった。電気がつながったのだ。その瞬間は、まるでカーニバルのような盛り上がりだった。ブルックリンに光がともったのが午後4時ごろ、マンハッタンはその数時間後だった。私はその後家路につき、自分の部屋のライトをつけた。その時何故だかあの暗闇を恋しく感じていた。 前日の夜、私は暗闇の中明かりをつけ本を読んでいた。蒸し暑さが妙な集中力を与え、気付けば3時間ほど時間が経っていた。私はふと、この闇に逆らうのがばからしいと感じ、本を閉じ、明かりを消して闇に身を投じる事にした。 暗闇の中、私は寝るわけでも、起きているわけでもなく、ただ蒸し暑さと闇を感じていた。私に出来る事は想像する事だけだった。 ・・・・・・・((何故だろう、普段も寝る前や、考え込む時には同じよう明かりを消しているのに、いつもとはまったく違う世界にいるようだ。想像することも思考がついていけないぐらいに早く、そして深い。闇は消して好きなほうではなかった。眠るときは早く次の日を迎える事を望んでいた。闇は私に掴み所のない恐怖を与えていた。しかし、今はそんなに嫌な気はしない。むしろこのまま、この感覚にずっと触れていたいと感じている。))・・・・・・・・ 目がさめると時計の針は10時を指していた。
(文と写真:中屋 一生)
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